税理士受験時代の旧友との久しぶりの再会。
税理士試験という謎が多い試験を改めて振り返りました。
努力すれば受かる試験ではない
友人は今年の4月から大学院に通い始めたとのこと。
保有科目は、簿記論、財務諸表論、法人税、国税徴収法の4科目。
3年で4科目合格しており、法人税さえも1回で合格するという強者。
しかし、消費税は受からなかった。
最初の受験から7回連続で落ちた。
ハマったとか、そういうレベルの話ではない。
大手予備校2つに通い、上位1%を維持し、当日の試験の出来も良い。
しかし、受からない。
ご存知のとおり、税理士試験は不明瞭な部分が多い。
採点基準も答案も非公開なので、落ちた明確な理由が分からない。
彼は8回目の受験は考えていなかったらしい。
結果がでて、すぐに大学院の受験に向けて走り出し、今は勤めながら大学院に通っている。
元同僚で極めて優秀な人がいた。
私の同期でもあり、実務を叩きこんでくれた人。
保有科目は、簿記論、財務諸表論、消費税、相続税の4科目。
「ものすごく優秀」と言えば伝わるだろうか。
大手予備校の模範解答で合格確実ラインを超えてくる人だった。
しかし受からなかった。
翌年はさらに努力をして、法人税の22条対策のために、司法試験や公認会計士試験の問題を解いていた。
そして本番で、ほぼノーミスの解答をつくった。
しかし、受からなかった。
今、彼は大学院に通っており、来年税理士になる。
合格までの代償
不合格の理由は必ずあるのだろうけど、それは明らかにならない。
「合格点に達しなかったから受からないだけ」
「努力が足りない」
「落ちた年と同じことをやっていては受からない」
などのThe正論だけで、説明がつくものではない。
一方で、もちろん合格している人もいる。
2~3年で合格する人もいれば、5~6年で合格する人もいる。
10年以上努力を続け苦節の末に合格する人もいる。
短期間で合格できればいいのだが、そうでない場合代償が大きくなる。
長い間努力し続けるのは感服するが、それは受験勉強以外のことを捨てることを意味する。
家族との時間、夢中になれる仕事、趣味など、受験勉強と引き換えにするものがあまりにも大きい。
4科目合格していて、大学院に進む人の話を聞くと、
・これ以上家族に迷惑をかけられない
・仕事に本気で集中できない
・この生活に疲れた
などの意見を耳にする。
つくづく甘くない試験だと実感する。
試験合格にこだわった理由
税理士になったら、試験合格か認定合格かを重視する人はいません。
クライアントもそんなところは見ていません。
結局は自分が納得するかどうかだけです。
私が試験合格にこだわったのは、税理士になるという目的の他に、もうひとつ目的があったからです。
「自分のことを認めたい」
31歳のとき、会社の看板がなければ何もできない自分が嫌だった。
自分の力で、自分を認めたい。
そのためには、なんとしても自力で5科目揃える必要があった。
だから大学院に進む選択肢はなかったのです。
自分との約束とも言えますし、自己満足とも言えます。
こういう考えは少数派なのでしょうが、本人からしたらとても重要なことです。
税理士試験は努力すれば報われる試験とは言えませんが、試験合格にこだわる「理由」がある人は、とことんこだわっていいと思います。
険しい道になりますが、きっと自分の行動に納得できるでしょう。