税理士に経営コンサルはできないという記事をよく見ます。

経営コンサルとはなんでしょうか。

経営コンサルの大枠

経営コンサルというと、どういった内容を想定されるでしょうか。

経営コンサルは種類や規模によって様々です。

下記はざっくりとした表です。

経営コンサルの対象となる企業の多くは、大企業・中堅企業であり、中小・零細企業に対する経営コンサルは行われていないのが現状です。

そこで税理士に経営コンサルを求められるようになります。

大企業・中堅企業向けのような経営コンサルを税理士ができるかというと非常に難しいです。

特に私のようなひとり税理士には不可能です。

そして、中小・零細企業の経営者も大企業・中堅企業向けのような経営コンサルを税理士に求めていないでしょう。

 

多くは、図の右下の「税理士(会計・税務と中小・零細企業のクロスする箇所)」の仕事をしっかり行っていれば満足していただけるように思えます。

しかし、税理士業界も価格破壊が起きて、サービスを細分化するようになり、必要以上の仕事をすると赤字になってしまうという税理士がたくさんいます。

このミスマッチが税理士に経営コンサルを求めるという意見につながっているのだと思います。

税理士に経営コンサルができるか

数字の改善提案をする場合、手をつけるのは下記からです。

1 経費削減

・人件費以外のコストを徹底的に見直す

・まず交際費、会議費、消耗品費、広告宣伝費、交通費、通信費、支払手数料など

・次に福利厚生費、家賃など

これだけで営業利益が大きく変わる会社もある。

2 人件費削減

会社の状況にもよるが、切羽詰まっている状況ならば手段を選ぶ余裕はなくなる。

経費と違い一過性ではないコストカットになるが、社員の反発を生みやすいので慎重に行う。

うまく進めないと、社内環境が悪くなる可能性はあるが、数字は確実に改善する。

3 売上増加の提案

1と2は会社内部で完結するが、売上は会社内部だけでは完結しない。

効果が得られるまでに時間がかかるので、実質的には一番先に行う。

・売れ筋アイテムを全面に押し出す

・利益率の低いアイテムをやめる

・クライアントを絞る

・オペレーションを見直す

・アップセルとクロスセルに力を入れる

ラインナップの大幅な変更をせず、できることをやり切る。

そして税理士ならではの、税法を駆使したアドバイスも盛り込む。

 

しかしこれらは経営コンサルという全体的な視点から見ると応急処置にすぎません。

会社が継続するために必要なことの本質は、「新商品の開発」と「マーケット開発」を地道に続け成功させることにあります。

それを中小・零細企業の社長が、税理士に求めているのでしょうか。

求めている経営コンサルを明確にする

以前、経理部の人員不足、業務内容、業務量のすべてが問題となっているクライアントの改善提案と実施をしたことがあります。

これは、数字の改善というよりかは、会社の根幹の改善です。

私は、これもひとつの経営コンサルと考えています。

むしろ見せかけの数字を良くするだけでなく、本質的な改善を行っているのは、このタイプのコンサルなのではないかと思います。

しかしこの件は、経理部の部長と社員には喜んでいただけたのですが、社長にはそこまで響かなかった思い出があります。

 

経営コンサルの目的は何でしょうか。

・売上を伸ばす方法を知りたい

・経費の削減方法を知りたい

・借入返済が厳しいので対策を考えてほしい

・融資を受けたいから相談に乗ってほしい

・儲かる方法が知りたい

・とにかくキャッシュを増やしたい

・経営が苦しいから同じ経営者として相談に乗ってほしい

・会社の課題を洗い出してほしい

・同業他社との比較がしたい

・人材育成方法を教えてほしい

・戦略・戦術を考えてほしい

・会社の本質的な問題点を教えてほしい

経営者によって捉え方は違います。

そして求めているものも違います。

 

税理士が想定する経営コンサルと、中小・零細企業の経営者が想定する経営コンサルは内容に相違があるように感じます。

税理士に経営コンサルを依頼するのであれば、求めている内容とゴールを経営者と税理士双方の共通認識とすることが先決です。

経営者が経営コンサルと言っているのが、顧問の内容に含まれているケースもあります。(格安税理士だと難しいと思いますが…)

 

「会社が我々に依頼せずに、自分たちで問題解決をするようになるのが仕事の目的」

私が知っている優秀な経営コンサルタントと税理士は同じことを言います。

経営コンサルタントにしても税理士にしても、どのようなスタンスでクライアントと向かい合うかが最も重要であることは間違いありません。