会社の車というと、節税のひとつで「4年落ち中古車の購入」が有名ですが、最近は残価設定ローンで新車を購入するケースも増えているようです。
今回は、「残価設定ローン」で会社の車を購入した場合の会計処理について説明します。
そもそも残価設定ローンとは
残価設定ローンの「残価」とは、つまり下取り価格のことです。
この「残価(下取り価格)」を除いた金額を、毎月のローンで返済していきます。
残価設定ローンの例
・契約するときの車の価格500万円
・5年後の車の価格200万円(残価は、ディーラーが車種やローン期間により決めます)
・残り300万円を5年間のローンで返済
・5年後に下記の選択ができる
・車を返却する
・違う車に乗り換える(同じように残価設定ローンを組む)
・残りの200万円を払って買い取る(一括かローン。ローンの場合金利が上がる)
残価設定ローンの場合、車の「所有者」はディーラーで、「使用者」が購入者となります。
残価の200万円を払って、買い取る際に自分の所有になります。
このあたりは通常の車のローンと同じです。
残価設定ローンとリースは似ているので注意
残価の200万円を除いた金額を、毎月返済していくので、月々の支払い額は抑えられるのが大きなメリットといえます。
ただし、5年後にあらかじめ契約した走行距離をオーバーしていたり、傷があったりすると、追加料金を払うなどのデメリットもあります。
こう考えると、車を借りているようなイメージですね。
車を借りると言えばリースを想定される方も多いと思います。
残価設定ローンとリースは似ているので、処理を間違えないように注意が必要です。
残価設定ローンの場合は、契約書の名称が「リース契約」ではなく「ローン契約」や「割賦販売契約」になっているので確認しましょう。
あくまでも通常の売買契約として、会計処理をします。
残価設定ローンの会計処理
車の頭金を払った時
前払金 | 〇〇 | / | 預金 | 〇〇 | 頭金 |
車を購入した時
/ | 長期未払金 | 〇〇 | ローンと残価分の未払総額 | |||
/ | 前払金 | 〇〇 | 頭金 | |||
車両 | 〇〇 | / | 車両本体価格(残価分含む) | 課税 | ||
租税公課 | 〇〇 | / | 自動車税などの税金 | 不課税 | ||
保険料 | 〇〇 | / | 自賠責保険などの保険料 | 非課税 | ||
支払手数料 | 〇〇 | / | 手続代行費用、資金管理料金など | 課税 | ||
支払手数料 | 〇〇 | / | 検査登録、車庫証明などの法定費用 | 不課税 | ||
差入保証金 | 〇〇 | / | リサイクル預託金 | |||
長期前払費用 | 〇〇 | / | 割賦手数料 |
・車両は、ローン部分と残価分を合わせた総額で計算します。
・割賦手数料は、購入時に長期前払費用で計上します。
・長期未払金は、未払総額を計上します。
毎月の返済時
長期未払金 | 〇〇 | / | 預金 | 〇〇 | 〇月分 ローン返済 |
・毎月のローン返済時に、長期未払金を減少させます。
割賦手数料の償却
支払手数料 | 〇〇 | / | 長期前払費用 | 〇〇 | 〇月分 割賦手数料 | 不課税 |
・毎月のローン返済時に、ローン期間に応じて、長期前払費用に計上した割賦手数料を費用にします。
減価償却
減価償却費 | 〇〇 | / | 車両 | 〇〇 | 〇月分 減価償却費 | 不課税 |
・償却期間6年で減価償却をします。
5年後に「返却」した時、もしくは「乗り換え」した時
/ | 車両 | 〇〇 | 車両の簿価 | |||
/ | 車両売却益 | 〇〇 | 売却益 | |||
長期未払金 | 〇〇 | / | 残価設定分の金額 | ※課税売上 | ||
預金 | 〇〇 | / | 差入保証金 | 〇〇 | リサイクル預託金返還 | 非課税売上 |
※ 車の残価(下取り価格)で売ったのと同じなので残価の金額に消費税がかかります。
5年後に「買い取り」した時
長期未払金 | 〇〇 | / | 預金 | 〇〇 | 残価設定分の金額 |
・未払金の残額を払って、買い取りが完了します。