儲かってきたから個人から法人にしましょう!
と言うのは簡単ですが、現実は一筋縄ではいきません。
法人成りといっても、方法は数種類ありますし、内容もクライアントにあわせたオーダーメイドになります。
事務手続きや、税金の最適化は、税理士に依頼したほうが確実ですが、その前段階としてざっくり法人成りとは何かを説明します。
法人成りの意味
個人事業主として事業を行っていると、法人として事業を行ったほうがいい状況になることがあります。
ビジネスの方向性、税金、取引先との関係などが主なものです。
このときに、個人事業主として行っていたビジネスを、そっくりそのまま法人に売ります。
引き継ぐわけではありません。
売ります。
個人事業主として行ってきた資産と負債を法人に売ります。
これを法人成りといいます。
法人成りの方法は、数種類あるのですが、売却が一般的です。
個人としては事業を法人に移して何もなくなるので、廃業届を出して終了です。
注意点として、その年の個人事業主としての確定申告は忘れずに行います。
法人成りをざっくり図解
個人の資産と負債
法人に売るとこうなる
個人からすると、プラス100万円の資産とマイナス70万円の負債を売ります。
資産と負債をあわせて、結局30万円分売ったと考えます。
この30万円を法人から受け取ります。
法人の資産と負債はゼロスタート
個人から買うとこうなる
法人からすると、プラス100万円の資産とマイナス70万円の負債を買います。
資産と負債をあわせて、結局30万円分買ったと考えます。
この30万円を個人へ支払います。
仮に、資産が70万円、負債が100万円だった場合、個人からすると赤字が積み重なっているということです。
この場合は、上記とは逆で、個人が法人に30万円支払います。
法人成りのざっくり注意点
消費税
個人側が消費税を支払う義務がある場合、棚卸資産や固定資産を売ると消費税がかかります。
想定外の納税額になることがあるので要注意です。
棚卸資産
個人としては売上になります。
最低でも通常価格の70%以上で売ります。
固定資産
個人としては譲渡所得となります。
ほとんどの場合、譲渡所得はでないのですが、不動産賃貸業の場合は注意が必要です。
この場合、法人に売るという選択肢以外にも、貸すという選択肢も考慮しなければなりません。
所得税だけでなく相続税も絡んでくるので、税理士にまかせたほうがよろしいかと思います。
個人事業税の見込控除
最終年度の事業税が発生する場合、最終年度の経費にすることができます。
事業税を自分で計算しないといけないので、難易度が上がります。
名義変更と新規登録
銀行口座
事務所などの賃貸借契約
車
保険
リース
水道光熱費
プロバイダ
など多くのものが名義変更になります。
借入がある場合は早めに銀行に相談
借入金の名義が個人のままだと、利子を支払っても法人の経費にできません。
法人成りの際は、顧問税理士に事前に相談しておくのがベストなのですが、
顧問税理士がいない場合は、単発の相談で法人成りコンサルを依頼してみるのもひとつの手です。
最大限メリットを活かした法人成りをしましょう。