税理士業はなくなるか
先日、ひとり税理士の大先輩とお会いした。
現在63歳。
24歳で独立し約40年間、第一線の現場にいる税理士。
趣味は人口知能、いま最も興味があるのは量子コンピューター。
趣味である投資の自動売買装置を自作する強者。
その他、ゴルフプロ級、ギター、最近は特許案を考え自分で特許申請したらしい。
こういう方との話はとても面白い。
もちろん税理士業も工夫されていて、相続以外は紙ベースの仕事をしていない。
記帳代行は受けているようだが、すべて自動取込をし、日々さらなる効率化を図っている。
今から40年前の税理士業というと紙、手書き、印鑑が当たり前の時代。
そこから会計ソフトが導入されるようになって、近年クラウドや人工知能が普及した。
この時代の流れと淘汰された仕事内容を実際に経験している方が、いち早く次世代の方法を取込み、日々工夫されているのを聞くと、「本当に今の税理士業はなくなる」と実感する。
今から約10年前に、とある先輩が「スマホって知ってるか?これから絶対流行るぞ」と言っていたのを思い出した。
あれから10年。
流行るどころの騒ぎではない。
ほとんどの人が当たり前のように手にして、日々の生活も激変している。
もし、量子コンピューターが一般普及したらどうなるか。
会計データや、申告書の作成など、税理士より完璧にそして一瞬で完成させるだろう。
こういう未来は意外と近いのかもしれない。
いま身に付ける税理士スキル
今の税理士業がなくなるにせよ、なくならないにせよ、今が変革の時であることは間違いない。
では具体的に何を身に付ければいいのだろう。
必要なスキルはプログラムを書くことだろうか。
大先輩は言う。
「プログラムを書けるようになるのが目的ではなくて、もっとコンピューターに触れるという温度感でいいんじゃないか。今は俺たちがコンピューターに触れたときとは時代が違う。情報や覚えることが多すぎる。これが正解というのはないが、強いて言うならエクセルVBAから入るのがいいだろうな。自分が書いたコードが動くことを経験して楽しめばいいんじゃないか。」
なるほど、「スキルを身に付ける」ではなく「楽しみながら試せばいい」のか。
そういうのは好きである。
楽しみながら試すという視点だと、他にもたくさん出てくる。
振り返ると楽しみながら試したものは今も続いている。
というか当たり前のように使うようになっている。
電子マネー、カード決済、音声入力、税理士業の自動取込もそのひとつだった。
こう考えると、税理士スキルというよりかは、時代にあわせたスキルを身に付けるという表現のほうがしっくりくる。
何十年も前から言われて聞き飽きていたが「現状維持は衰退」という言葉が身に染みる。
時代にあわせたスキルと時代にあわせた仕事
税理士の仕事がなくなる前に、税理士の仕事の効率化がある。
効率化の最終的な行く末が、税理士業の消滅である。
税理士に依頼しなくてもコンピューターがすべて正確に速く処理してくれる。
それは、もう少し先の未来の話だが、その逆は今この瞬間にも起きている。
つまり、新しいものを取り入れず効率化できない税理士は未来を待つことなく淘汰されるということ。
新しいものを取り入れないということは、便利でクライアントにとって有益なサービスを提供しないということになる。
そのため、現段階でどれだけ新しいものを取り入れ、仕事を効率化できているか再確認する必要がある。
自分の仕事をひとつひとつ振り返ると、改善点はたくさん見つかる。
そしてその多くは、改善すればクライアントにとって有益なものとなる。
独立してからは、気づいたことは日々改善している。
自動取込、資料をクラウド管理、ダイレクト納付など、世の中はどんどん便利になっている。
時代にあわせたスキルを身に付けるとともに、時代にあわせた仕事をしていく必要があると実感している。