小規模企業共済は、小規模会社の役員や個人事業主にとって、お得な制度です。

多くの税理士もお勧めしています。

ただし、メリットもあればデメリットもあります。

もちろん損をする場合もあります。

制度の内容をざっくり理解しておきましょう。

制度をざっくり解説

大枠

小規模企業共済は、退職金制度がない小規模会社の役員や個人事業主のための制度です。

毎月自分で決めた掛金を払っておいて、引退するときに受け取ることができます。

退職金を自分で積立てておいて、引退するときにもらうイメージです。

「経営者の退職金制度」と言われています。

個人事業主や小規模会社の役員は、一般的に退職金はありません。

小規模企業共済は、こういう方々のためのものです。

そして、小規模企業共済の掛金は所得控除ができます。

つまり節税しながら積立ができるということです。

さらに、資金繰りが厳しくなったときに、貸付を受けることもできます。

対象者

ざっくり言うと「従業員が5人または20人以下の個人事業主または会社役員」です。

(5人か20人かは業種によります)

掛金

月1千円から7万円までの範囲で、500円単位で自由に決めることができます。

初めは低く設定しておいて、徐々に増やすことも可能です。

逆に減額することも可能です。

払込方法

毎月掛金を支払います。

年払いすることもできます。

決算ギリギリでも、年払いして節税することができます。

ただし、年払いはお金が一気になくなるので資金繰りに注意が必要です。

掛金の受け取り

廃業する⇒共済金A

廃業した場合、死亡した場合に受け取るお金です。

配偶者や子供に、事業譲渡した場合も受け取れます。

共済金Aは6ヶ月未満だと1円も受け取れません。

3年以上掛金を支払うと、掛金以上のお金を受け取れます。

65歳になる⇒共済金B

65歳以上になれば、廃業しなくても受け取れます。

条件として15年以上掛金を支払う必要があります。

共済金Aと同じように

6ヶ月未満だと1円も受け取れません。

3年以上掛金を支払うと、掛金以上のお金を受け取れます。

法人成りする⇒準共済金

個人事業主から法人へ変更するときに、条件を満たした場合に受け取れます。

共済金と違い、掛金の支払いが1年未満だと1円も受け取れません。

1年以上掛金を支払うと掛金と同額が受け取れます。

18年7ヶ月以上掛金を支払うと、掛金以上のお金が受け取れます。

解約する⇒解約手当金

・自己都合で解約した場合

・法人成りして条件を満たさずに準共済金が受け取れない場合

に受け取るお金です。

掛金の支払いが1年未満だと1円も受け取れません。

20年未満だと元本割れします。

運営

経済産業省管轄の、中小企業基盤整備機構が運営しています。

国の機関であり民間企業ではありません。

メリット

節税

掛金を払うとき、共済金を受け取るとき、両方で節税効果があります。

払い込み時の節税

支払った掛金が全額、所得控除となります。

全額経費になるというイメージです。

毎月7万円支払っていたら、年間84万円控除できます。

仮に、毎月7万円貯金しても、控除はできません。

積立てておいて、さらに所得控除もできます。

受け取り時の節税

・退職金として一括で受け取る

・年金として分割で受け取る

を選べます。

いずれにしても、給料としてもらうよりも、税金がかなり優遇されます。

なお、共済金ではなく、解約して解約手当金をもらう場合は、一時所得として扱うため、払う税金が増えます。

掛金以上のお金が戻ってくる

条件を満たせば、積立てた金額以上の回収が可能です。

貸付

掛金の範囲内で好条件の貸付を受けることができます。

デメリット

解約手当金は厳しい設定

小規模企業共済は、長期間掛金を支払って、将来お金が戻ってくる制度です。

そのため、20年未満で解約した場合、戻ってくるお金が減ります。

通常の場合、共済金としてお金を受け取ります。

解約の場合、解約手当金としてお金を受け取ります。

1年未満だと掛け捨て

12ヶ月未満の場合は、共済金を1円も受け取れないので注意が必要です。

20年未満だと元本割れ

制度の趣旨が、「経営者の退職金」なので、廃業する前や65歳前の早い段階で、解約する場合には、損をします。

解約するときは、共済金ではなく解約手当金を受け取ります。

20年以上掛金を支払っていないと、元本割れになります。

つまり、解約手当金の額が掛金を下回ります。

解約ではなくて、廃業したときに受け取る共済金の場合は、3年以上掛金を支払っていれば、掛金以上のお金を受け取れます。

解約して受け取る解約手当金は圧倒的に厳しい設定になっています。

短期間で掛金を増額・減額すると損をする

2018年1月から毎月5万円の掛金を支払って、2020年に減額して毎月3万円にしたとします。

2018年から2020年までに支払った5万円は、2万円と3万円に分けて別々に、掛金支払期間を計算することになります。

最終的に2万円が24ヶ月、3万円が240ヶ月となります。

こうなると、2万円分は24ヶ月しか払っていないことになるので、掛金の80%しか戻ってきません。

3万円分は240ヶ月以上払ったら、100%戻ってきます。

20年以上掛金を払っていても、短期間で掛金の増減をすると損をします。

まとめ

・小規模企業共済は、小規模な個人事業主、会社役員のための制度。

・掛金を積み立てて、将来もらう。

・掛金は自分で調整できる。

・掛金は全額所得控除になる。

・お金を受け取るときは、退職金か年金を選べる。いずれにしても税制上優遇される。

・長い間、掛金を支払うと、掛金よりも多くのお金を受け取れる。

・廃業したら共済金A

・65歳以上で条件を満たせば共済金B

・法人成りで条件を満たせば準共済金

・自己都合の解約ならば解約手当金