知り合いの士業との一コマ。
「この前、裁判したんだよね」
「えっなんで?」
「お客さんが報酬を払ってくれなくて。それどころか手紙を送ってきて、これ以上請求してきたら訴えるぞって書いてあったんだよ」
「ありえないでしょ」
「うん。ありえないよね。しかもロクな仕事もしないでみたいなことも書いてあったんだよ」
「うわ~」
「それで、裁判をしたんだよね」
なんだか一見ドラマのような話ですが、商売をしている人なら不思議ではない話です。
対岸の火事、明日は我が身です。
未回収の末の少額訴訟
彼は100%自分が勝つと確信していました。
それもそのはずです。
ありえない内容だからです。
しかし、実際の裁判は少々違ったようです。
最終的に彼は裁判に勝つのですが、危ない場面もありました。
裁判の論点は、「契約書の有無」と、「業務を完了したのか」の2点だったそうです。
知り合いからの紹介だったので、契約書はなく口約束だったとのこと。
業務を完了したのかどうかというのも契約書がないと内容が不透明です。
やはり契約書は双方にとって準備したほうがいいものだと再認識しました。
相手の言い分としては、
・1日で出来る仕事なのに3日かかった
・電話にでない(深夜の電話…)
・食事の誘いを断った
なんだかむちゃくちゃです。
この裁判中、彼は「ライセンスを剥奪してやる」と、脅されていました。
相手側の顧問弁護士の入れ知恵か分かりませんが、重箱のスミを突くようなことで攻撃されたそうです。(あまりにもひどい内容です)
そして、結局この裁判には勝ったけれど、お金は払われませんでした。
次の方法は差し押さえなのですが、盗撮やら何やらされて精神的にも疲れたので、差し押さえはしないそうです。
彼いわく、内容証明を自分で作って督促して、少額訴訟の手続きも自分でやって、法廷にも自ら立って戦ったので、いい経験にはなったとのこと。
そして、報酬の金額うんぬんではなく、無茶苦茶な言い分に泣き寝入りするのが嫌だから戦ったと言っていました。
業務以外でも、好き嫌いのような感情のもつれがあったのでしょう。
それが、双方の争いを大きくしたのかもしれません。
私が同じ立場になったら、そこまでできるだろうか……
そういう状況になる前になんとかしたいところです。
未回収のパターン
あてにしていた報酬が入ってこない。
なんともいえない気分になる。
フリーランスなら多くの人が経験したことがあるでしょう。
会社員時代の未回収よりも、独立後の未回収のほうが、はるかにブルーになります。
会社員は未回収でも、自分の給料は1日も遅れずに入金されます。(だからこそ未回収に対する意識が低いのですが)
フリーランスは未回収だと、死活問題です。
入金がないケースとして、
1請求書を出すタイミングが遅れて、先方の締め日に間に合わず支払いが遅れる
2先方がうっかり支払いを忘れている
3先方にお金がなく、支払いを後回しにされている
4意図的に支払うつもりがない
が考えられます。
1と2は意外とあるケースです。
確認して理由がわかれば問題ありません。
問題なのは3と4です。
3のお金がない会社は、支払いが遅れても大丈夫そうなところ(うるさく言ってこないところ)を後回しにします。
1日でも遅れたら、強烈な催促をしてくる会社を優先して払います。
実際に何社もこういう会社を見てきました。
電話、メールで連絡。
直接訪問して交渉。
それでも払ってくれないかもしれませんが、粘り強く淡々と催促するしかありません。
冷静でいるのは難しいところですが、交渉するときのみ感情を持たないロボットになりましょう。
4の意図的に支払うつもりがないのが、知り合いの士業が巻き込まれたパターンです。
極めて悪質なので、裁判をして徹底的に戦うか、今後一切関与しないことにするか、悩ましいところです。
未回収撲滅のメンタル
未回収を撲滅するためには、
・前金で報酬をいただく
・当月分の報酬は当月いただく
・掛取引になるのであれば、入金予定日に必ず確認をする
・契約書を交わす
・1日でも入金が遅れたらすぐに連絡する
・入金されなくても、冷静に淡々と粘り強く交渉する
などが考えられます。
裁判などの最終段階に行く前になんとかしたいところです。
日本人の習性なのか美徳なのかはわかりませんが、お金の話になると遠慮したり、変な忖度をします。
外国人の方と仕事をすると、より一層そのように感じます。
私は会社員時代、お金の話をするのに、ためらいがありました。
しかし、フリーランスになってからは、ためらいはありません。
入金がないと生活に直撃する
この当たり前の事実をきちんと理解したからです。
この意識は、会社員時代よりも独立してからのほうが圧倒的に強いです。
とはいっても、支払いのトラブルは強烈なストレスになります。
お金にルーズな方との仕事は、精神衛生上よくないです。
フリーランスの場合は特に、信頼関係がない相手との仕事は続きません。
もし遭遇してしまったら、深入りするのは避けて、別の取引先を見つけるのが賢明です。