クライアントとミーティングをしていて感じたこと。
「会社も経営者も成長がとても早い!」
あっ…成長が早いなんて言うと、上から目線のようですが、決してそんなつもりはないのでご了承ください。
指令:経理フローを構築せよ
次世代の若き経営者との出会いは、今年の6月でした。
ビジネスモデル自体も素晴らしい内容で、すでにメディアに多数出演されており、数年後には、有名な起業家になられるのではないかと思っています。
ご依頼内容は、「経理フローを構築すること」でした。
そこで、3ヶ月間で、経理のフローを固めるお仕事を、クライアントと共同で行いました。
具体的には、
・社長は最終チェックのみ。
・スタッフ全員が経理フローを共通の認識にして実行する。
・経理時間を短縮する。
・現金は使用しない。
・カード決済のみ。
・従業員が立替えた経費は、現金精算ではなく給与で精算する。
・請求書、領収書等のエビデンスは、漏れがないようにすべて紙ベースで保存する癖をつける。(税務調査時に改めて準備する必要がないように保存)
・データのやり取りはクラウドで行う。(最初のうちは、紙ベース保存の癖をつけるためにデータと紙の両方を税理士がチェック)
・会社オリジナルの資金繰り表を改良して、お金の流れと明細を一元管理する。
・資金繰り表の精度を上げる。(当月分のみの管理から半年先まで管理。1年後までの資金繰りを管理するところが目標)
・発生主義と現金主義の違いを認識する。
・会計データは、翌月の10日前後までに作成して、直近のデータを確認できるようにする。
・その他もろもろ
3ヶ月経過して、上記の内容は定着しています。
毎月の経理フローがスタッフ全員の共通認識となり、ルールが確立されると、
・経理の時間が短縮できる
・経理の漏れや穴がなくなる
・経理を投資に活かせる
といった効果が現れます。
会社の仕組みづくりをクライアントと一緒にする税理士
肌感覚では、経理フローが定着するのは、もう少し先かなと思っていたのですが、想定よりも早く定着しました。
このあたりは、経営者の理解力と伝達能力が優れているからでしょう。
今、私がこの若き経営者と何をしているかというと、次のステップの作戦を立てています。
すべてを書くことはできないのですが、直近の取り組みだと、管理会計の導入です。
管理会計については、ミーティングの際に「変動費」と「固定費」というワードを経営者からお聞きしたのがきっかけです。
当初は、今期は経理のベースづくりをして、変動損益計算書を使った管理会計は来期以降かなと思っていました。
しかし、今後の課題としていたお願いしていた原価配分の構造を固めていくうちに、管理会計をご自分で勉強されたとのことです。
税理士が、管理会計という次のステージに誘導する前に、ご自分で進んでいかれたイメージです。
こういう姿を見ると、なんだか嬉しくなります。
ほんの数ヵ月前に経理のベースづくりのミーティングをしていたときと比べると、会社も経営者も確実にレベルアップしているのが、本当によく分かります
このときの私の感情が、
「税理士やっていてよかった」
でした。
今までも、スキームを提案して喜んでいただけたり、税務調査を乗り切って感謝されたりと、難題をクリアーしたことによる「やりきった感」はあったのですが、私の中では、どうやらそこがツボではなかったようです。
私のツボはクライアントがレベルアップすることなのではないかと感じました。
「クライアントと共に成長」というワードは、なんだかテンプレみたいであまり好きではないのですが、このワードに近いものがあります。
ちょっと違うのが、私の場合は、共に成長することが好きなのではなくて、一緒に会社の仕組みをつくっていくことが好きなのです。
クライアントと一緒に「あ~じゃない、こ~じゃない」言いながら、仕組みを構築していって、結果としてクライアントがレベルアップしているのを実感できたら、最高なのです。
会社の仕組みづくりを第三者が混じって一緒にするって、すごく特殊な仕事だと思うのです。
そして、私はその仕事が好きなんだと、あらためて実感しました。
税理士としての役割を理解する
若き経営者が、頭の中で、どういう絵を描いているのかをお聞きするのは楽しいです。
夢を楽しそうに語ってくれるからです。
思い通りにいくビジネスなんてないし、そんなに甘いものではないと、経営者自信が一番分かっていると思います。
でも、そんな中でも熱く楽しそうに語る姿と、隠し切れない自信が、いずれ「カリスマ」と呼ばれるようになるのでしょうね。
税理士は、会社のステージによって変更していくべきだと思っています。
シード、アーリー、ミドル、レイターの各ステージで、同じ税理士である必要はありません。
会社の成長に、税理士の能力が見合わなくなったら、任期満了ということです。
会社が成長するということは、いつかその日がくるのでしょうが、税理士としての自分の役目を、自分自身で理解しておくと、「顧問を取られた」という表現ではなくて、「卒業おめでとうございます」になるのかもしれません。
私の税理士としての役目は、クライアントと一緒に会社の仕組みづくりをすることです。
そのうえで、クライアントがレベルアップしていく姿を見ていけたら、税理士冥利に尽きます。